AI活用

動画生成AIは何から試す?|Gemini Omniの特徴・使い方・使える場所を初心者向けに整理

商品の写真は何十枚もスマホに入っているのに、SNSに出す15秒の動画がいつまでも作れない。撮影を外注するほどの予算はなく、編集ソフトを開いても最初の1カットで手が止まる。中小企業の現場で動画の相談を受けると、だいたいこの形をしています。作りたいものがないのではなく、作り始める場所が分からない状態です。

そこに関わってくるのが、Googleが発表したGemini Omniです。動画生成AIとしては後発ですが、画像・音声・動画・テキストをまとめて材料にできる点と、出来上がった動画を会話で直せる点が、これまでのツールと使い勝手を変えています。本稿では、動画編集の経験がない立場から見て、何ができて、どこで触れて、公開前に何を確かめるべきかを公式情報の範囲で整理します。モデル同士の性能比較やベンチマークの数字を知りたい方には向きません。

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この記事を読むとわかること

  • check_circleGemini Omniが従来の動画生成AIと何が違うのか、3点に絞って理解できます。
  • check_circleGemini app・Google Flow・YouTube・Google Vids・APIという入口ごとの条件が分かります。
  • check_circle動画編集の経験がない状態から、最初に試す手順が5ステップで持ち帰れます。
  • check_circleSNS・商品紹介・採用・社内マニュアルで、どんな使い方が現実的かが分かります。
  • check_circle公開前に人が確認すべき5つの観点を、チェックリストとして使えます。

特徴は「素材を混ぜられる」「会話で直せる」の2点

Gemini Omniは、Googleが新しく立ち上げたモデルファミリーの名前です。最初のモデルはGemini Omni Flashで、公式ブログでは「あらゆる入力からあらゆるものを作る、その第一歩として動画から」という趣旨で説明されています。名前だけ見ると万能機のようですが、現時点で形になっているのは動画の生成と編集です。ここを取り違えると期待がずれるので、まず「動画のためのモデル」として捉えるのが早道です。

1つ目の特徴は、材料を混ぜられることです。文章だけで指示を出すのではなく、商品の写真、既存の動画、録音した音声、そこに文章を足して、まとめて渡せます。海外メディアも、画像・音声・テキストを動画に変えるモデルとして報じています。中小企業にとってこれが効くのは、手元にある素材がたいてい「写真とちょっとした録音」だからです。ゼロから絵を描いてもらうより、あるものを渡して動かしてもらうほうが、結果が想像に近づきます。

2つ目は、会話で直せることです。Google Flowの発表では、Omni Flashを「動画版のNano Banana」のような位置づけで説明し、実際に撮った素材と生成した素材を混ぜながら、対話で何度も手を入れられるとしています。登場人物の見た目や声を保ったまま修正できる点も挙げられています。従来の動画生成は、気に入らなければ作り直すのが基本でした。そこが「もう少し明るく」「この人物のまま別の角度で」と言い直せる形に変わったわけです。

編集ソフトを触ったことがない人ほど、この2点目の意味は大きいと感じています。タイムラインもレイヤーも覚えなくていい代わりに、覚えるのは「どう直してほしいかを言葉にする力」だけになります。これは、社内で誰かに撮影を頼むときにやっていることと変わりません。動画制作のスキルが要らなくなったというより、必要なスキルが指示出しの側に移った、という捉え方が実態に近いです。

使える場所は入口ごとに条件が違う

ここがいちばん混乱しやすいところです。Gemini Omniは単体のアプリではなく、Googleのいくつかのサービスに順に入っていくモデルです。Google DeepMindの製品ページでも、Gemini app、Google Flow、YouTube、Google Vids、Google AI Studioが入口として並んでいます。同じOmniでも、入口によって対象プランも提供時期も違うため、「使えるらしい」と聞いて自分の画面を開いても見当たらない、ということが起きます。

入口できること公式に示されている条件
Gemini app普段の会話の延長で、文章や画像から短い動画を作るGoogle AI Plus・Pro・Ultraの加入者向けにグローバル展開と説明
Google Flowテキスト・フレーム・参照素材から生成し、既存動画も会話で編集同じくGoogle AI Plus・Pro・Ultra向け。モデルごとに使える機能と動画の長さが異なる
YouTube Shorts Remix / YouTube Create対象のShortを、プロンプトや画像でリミックスする無料で順次提供と案内。生成物には電子透かし・識別メタデータ・元動画へのリンクが付く
Google Vids社内向け動画の生成、背景の差し替え、照明の調整、アバターの利用Google AI Pro・UltraとGoogle Workspaceのビジネス向け契約が対象と説明
Gemini API / Google AI Studio自社のシステムや業務フローに動画生成を組み込むGemini Omni 1.1 Flashが業務利用に耐える段階として提供されると説明。開発の知識が前提

表の右端を縦に読むと、費用と手間が下に向かって重くなっているのが分かります。日本のすべてのアカウントで今日から全部が使える、という状態ではありませんし、提供範囲は今後も動きます。ですから最初にやることは、機能の比較ではなく、自分が今どの入口に立てるかの確認です。Google AI Proに入っているならGemini appとFlow、何も契約していないならYouTube側から、という具合に決まります。

Google Flowのヘルプでは、Gemini Omni Flash 1.1について、テキストから動画、フレームから動画、参照素材から動画、そして既存動画の編集に対応すると説明されています。動画の長さは4秒・6秒・8秒・10秒、画質は標準が720p、下書き用に360pという案内もあります。ここは期待値の調整に直結する数字です。数分の会社紹介動画が一発で出てくるわけではなく、短いカットを積み上げてつなぐ作り方になります。

最初の1本は、手元の写真1枚から作る

初めて触るときに、いきなり公開用の動画を作ろうとすると挫折します。理由は単純で、完成イメージが固まっている状態だと、AIの出力とのずれが気になって手が止まるからです。最初は「出すあてのない15秒」を作るのが結果的に近道になります。以下は、動画編集の経験がない前提で組んだ順番です。

動画編集が未経験でも進められる5ステップ

  1. 1入口を決める:契約中のプランを確認し、Gemini app・Google Flow・YouTube Createのどこに自分が立てるかを先に確定させます。
  2. 2素材を1つ選ぶ:背景が整理された商品写真を1枚だけ用意します。人物や他社のロゴが写っていないものにします。
  3. 3短く指示する:「この商品をゆっくり回しながら、明るい自然光で見せる」程度から始めます。要素を詰め込むほど狙いから外れます。
  4. 41点ずつ直す:気になった箇所を1回につき1つだけ伝えます。「もう少し明るく」「最後の1秒を止める」のように分けるほど狙い通りになります。
  5. 5通った指示を残す:うまくいったプロンプトをメモに保存します。ここが社内で共有できる資産になります。

4番目が肝心です。まとめて5つ直そうとすると、どの指示が効いたのか分からなくなり、そのうち勘に頼った作り方になります。1回1点に絞ると回数はかかりますが、通る言い回しの型が手元に残ります。5番目でそれを保存しておけば、次に別の商品を撮ったとき、担当者が代わっても同じ品質で作れます。動画そのものより、通った指示のほうが会社に残る資産だと考えています。

中小企業で現実的に効きそうな使い方

では、実際の仕事でどう使うか。ここから先は公式に紹介された機能をもとにした応用で、効果を保証するものではありません。それでも、動画を外注すると1本あたり数万円から数十万円かかる領域のうち、社内で回せる範囲が広がるのは確かです。特に「短い」「量が要る」「更新頻度が高い」の3条件がそろう用途は、相性がよいと見ています。

用途作るもの向いている入口
SNSの投稿商品写真から起こす数秒の縦動画。同じ商品で切り口を変えた複数パターンYouTube Create / Gemini app
商品・サービス紹介使用シーンのイメージ映像。サイトやLPに埋め込む短いループGoogle Flow
採用・会社紹介職場の雰囲気を伝える差し込み映像。撮影済み素材の背景・明るさの調整Google Flow / Google Vids
社内マニュアル手順を説明する短いカット。文章のマニュアルに添える補助映像Google Vids
既存動画の再利用過去に出したShortsを、別の切り口や季節に合わせて作り直すYouTube Shorts Remix

この中でいちばん見落とされているのが、最後の再利用です。反応がよかった投稿は、たいてい1回出して終わりになっています。元の文脈を保ったままリミックスできるなら、当たった1本を季節や客層に合わせて作り直す運用が現実味を帯びます。新しいネタを毎回ひねり出すより、うまくいったものを回すほうが、担当者ひとりの体制では続きます。

社内マニュアルも相性がよい用途です。Google Vidsでは、自然言語の指示や画像の参照から動画を作れるほか、生成した動画にも撮影した動画にも背景の差し替えや照明の修正、効果の追加ができると説明されています。文章で20行かかる説明が、5秒の映像で済むことは珍しくありません。社外に出さない動画なら、権利まわりの確認も社内で完結します。最初の練習台としては、ここがいちばん安全です。

公開する前に、人が確かめる工程を残す

作れるようになると、次に問題になるのは出し方のほうです。AIが作った動画は、見た目が整っているぶん、間違いに気づきにくいという性質があります。実在しない機能が映っていても、それらしく仕上がってしまう。だからこそ、公開ボタンの手前に人の確認を置く必要があります。Googleは生成物にSynthIDの電子透かしを入れると説明し、YouTubeのShorts Remixでは識別用のメタデータと元動画へのリンクも付くと案内していますが、これはAI生成だと分かる仕組みであって、内容が正しいことを保証するものではありません。

公開前に人が確認する5点

権利:参照した素材を自社が使える立場にあるか。他社の映像や音源を混ぜていないか。

肖像:映っている人物に許可を取っているか。実在の人物に似た顔やアバターを、本人の同意なく使っていないか。

事実:商品の仕様・価格・効能の表現が実態と合っているか。存在しない機能が映り込んでいないか。

ブランド表現:色・ロゴの扱い・言葉づかいが自社の基準から外れていないか。

機密:素材の背景に、社内資料・顧客名・未公開の商品が写り込んでいないか。

この5点は、誰が見るかまで決めて初めて機能します。作った人が自分で確認すると、たいてい通ってしまいます。人数の少ない会社なら、社長でも経理担当でも構わないので、作っていない人がもう一度見る形にしてください。時間にすれば1本あたり2、3分です。動画は文章より拡散が速く、消しても引用されて残ります。取り返しがつきにくいぶん、確認の手間は先に払っておくほうが安く済みます。

なお、声や外部サービスとの連携まで含めた業務の任せ方については、Gemini Liveの音声エージェント機能を整理した記事でも同じ論点を扱っています。どの機能でも、確認を挟む場所を決めるところが導入の実務になります。

よくある質問

実際に相談を受けるとき、最初に聞かれる4点をまとめました。機能そのものより、自分の環境で試せるかどうかの確認が中心になります。

日本から今すぐ全部の機能を使えますか?

入口ごとに条件が違うため、全部が同じように使えるとは限りません。Googleの発表では、Gemini appとGoogle FlowについてはGoogle AI Plus・Pro・Ultraの加入者向けにグローバルへ展開すると説明され、YouTube ShortsとYouTube Createアプリには無料で順次提供すると案内されています。Google VidsはGoogle AI Pro・UltraとGoogle Workspaceのビジネス向け契約が対象と説明されています。提供範囲は時期によって動くので、まず自分のアカウントでメニューにGemini Omniの選択肢が出てくるかを確かめるのが早いです。

「使えると聞いたのに見当たらない」の多くは、プランか提供時期の差です。

お金をかけずに試せる入口はありますか?

YouTube側が入口になります。YouTubeの発表では、Gemini OmniをShorts RemixとYouTube Createアプリに導入し、無料で順次提供していくと説明されています。対象のShortをもとに、プロンプトや画像でリミックスする形なので、ゼロから素材を用意しなくても動きを確かめられます。Google FlowやGoogle Vidsは有料プランや法人契約が前提になるため、感触を掴む段階ではYouTube側から触るほうが負担は軽くなります。

無料の入口で操作感を掴んでから、必要になった時点で有料プランを検討する順番が無駄になりません。

作った動画をそのまま広告やSNSに使って大丈夫ですか?

そのままの公開はおすすめしません。素材に他社のロゴや第三者の顔が映り込んでいないか、商品の仕様や価格に事実と違う表現が混ざっていないか、自社のブランド表現から外れていないかを人が確認する工程が要ります。GoogleはOmniで生成した動画にSynthIDの電子透かしを入れると説明しており、YouTubeのShorts Remixでは電子透かしに加えて識別用のメタデータと元動画へのリンクが付くと案内されています。AIが作ったと分かる仕組みはありますが、内容の責任は公開する側に残ります。

確認する人を決めていないチェックリストは、運用が始まった翌週に形だけになります。

動画編集の経験がなくても扱えますか?

タイムラインを触った経験がなくても始められる設計です。Google Flowでは、テキストから作る、静止画のフレームから作る、参照素材から作る、既存の動画を編集するという入り方が用意され、会話で修正を重ねられると説明されています。Google Vidsでも自然言語のプロンプトや画像の参照から動画を作り、背景の差し替えや照明の調整ができると案内されています。ただし1回の生成は数秒単位の長さが基本なので、長い動画を作る場合は短いカットをつないでいく前提で考えてください。

まとめ:AIに任せる前に、素材と確認の担当を決める

Gemini Omniで変わったのは、動画が作れるようになったことではなく、直せるようになったことです。手元の写真や録音を渡して、出てきたものを会話で近づけていく。この往復ができるかどうかで、動画制作が「一発勝負の外注」から「社内で回す作業」に変わります。特別な機材も編集ソフトの知識も、入口に立つ段階では要りません。

一方で、入口ごとの条件は素直ではありません。プラン、提供時期、アカウントの種別で見え方が変わります。ここで止まってしまう会社が多いのですが、確かめる順番さえ決まっていれば数分で済む話です。契約中のプランを見て、使える入口を1つ選び、そこで15秒の動画を1本作ってみる。判断材料はそれで十分そろいます。

i-Styleでは、この手の道具を入れるときにいちばん効くのは、機能の把握より前段の準備だと捉えています。使ってよい素材はどれか、公開前に誰が見るのか、通ったプロンプトをどこに残すのか。この3つを決めておけば、モデルが入れ替わっても運用は残ります。逆に、そこが空欄のまま作り始めると、動画は増えるのに社内には何も蓄積しません。道具が速くなるほど、決めごとの有無が差になっていくと感じています。

参考にしたソース

確認日はいずれも2026年9月2日です。

Google公式ブログ: Introducing Gemini Omni

Google Labs発表: New agents, mobile apps and Gemini Omni for Google Flow and Google Flow Music

Google, Learn about Google Flow models & supported features(Google Flow ヘルプ)

YouTube, All the YouTube news from Google I/O 2026(YouTube Blog)

Google Workspace発表: Create, edit and star in videos with two Google Vids updates

Google Developers発表: Gemini Omni 1.1 Flash lets you build with more control

Google DeepMind, Gemini Omni(Google DeepMind)

TechCrunch, Google's Gemini Omni turns images, audio, and text into video(2026年5月19日公開)

The Verge, Gemini Omni is a new family of AI models meant to 'create anything'(The Verge)

参考リンクは、公開後に読者が一次情報へ戻れるように残しています。ただし、記事内の判断はリンクの数ではなく、上で整理した「どの入口で触るか」「何を素材にするか」「公開前に誰が確認するか」に集約して考えるのが実務では扱いやすいです。

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「動画は作りたいけれど、社内の誰がどこまでやるか決まっていない」というご相談をよくいただきます。i-Styleでは、使ってよい素材の整理から、公開前の確認フロー、通ったプロンプトの残し方まで含めて、続く形の仕組みづくりをお手伝いしています。まず1つの用途を選ぶところからでも構いません。

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